
上野と青森を結ぶ重要路線であった東北本線は、明治時代の開業以来、随所で複線化や電化が進められてきた。結実したのは1968年(昭和43年)のことで、8月5日に全線複線化が完成、8月22日には全線電化も完成した。加えて最高速度を全線で120km/hに引き上げる工事も成されている。仕上げは10月1日のヨンサントオと呼ばれる白紙ダイヤ改正で、諸々の改良を反映させたダイヤとなった。
本券は名実ともに全線複線電化の完成となったヨンサントオの改正時に、全線複線電化記念として発行されたものである。表面は新型の583系特急型寝台電車を用いた、上野と青森を結ぶ夜行列車「ゆうづる」のイラストで飾られている。新型車両を用いた青森行きの寝台電車という、新時代の東北本線をよく表した図案である。

裏面は右側に全線電化により運転を開始した、上野と青森を結ぶ特急電車の発着時刻が列記されている。所要時間は8時間半から9時間半といったところ。大幅に速達化された結果なのだが、現在の新幹線で3時間余りというのを見慣れていると隔世の感がある。
左側には「2万ボルトにご注意」と題して交流電化に伴う注意事項が記されている。東北本線は約8割が高電圧の交流電化だったので感電事故を警戒していたのだろう。わざわざこのようなことを記載することや、見送りの紙テープを使わないでという内容に時代を感じる。

全線を特急電車が行き交うようになった東北本線であるが、14年後の1982年(昭和57年)に東北新幹線の大宮〜盛岡間が開業、長距離輸送の役割はそちらに譲っていくことになる。徐々に伸びていく東北新幹線が、2010年(平成22年)に新青森に達してからは、全線が地域輸送と貨物輸送のための路線といった風情になった。

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