
1968年(昭和43年)10月1日、ヨンサントオと呼ばれる国鉄のダイヤ改正で、新大阪と熊本を結ぶ寝台特急が新設された。名前は輝く星を表す「明星」とされ、車両は登場したばかりの583系特急形寝台電車があてがわれた。
本券は明星の乗車記念券で、表面には電車寝台特急明星乗車記念券の文字と共に、新大阪から熊本に向けて走る明星のイラストが描かれている。

裏面には最新型電車寝台特急の文字も誇らしげに、熊本から大阪が11時間、新幹線乗り継ぎで東京まで14時間と、速達性をアピールする文言が並んでいる。加えて熊本・新大阪・東京といった主要駅の発着時刻に、食堂車が目を引く編成表が載せられている。
掲載された時刻表に目を通すと、熊本を21時40分に出ると東京には12時10分に到着、東京を17時に出ると熊本には7時25分に到着できることが分かる。これが新幹線の整備された現在だと、熊本を朝に出れば東京には12時15分に到着でき、東京を17時48分に出れば当日中に熊本に到着できてしまう。そのうえ飛行機も手軽に利用できるのだから、夜行列車が衰退するのも無理からぬことである。

当時の明星に話を戻すと、1日1往復ではじまった明星は順調に本数を増やしてゆき、7年後の1975年(昭和50年)には7往復という寝台列車とは思えない本数にまで増加。関西と九州を結ぶ代表的な寝台列車にまで成長している。
名前にふさわしい輝きを放つ存在となった明星であるが、輝きを失うのも早かった。運転開始から10年目となる1978年(昭和53年)には減便がはじまり、国鉄末期の1986年(昭和61年)には廃止されてしまう。臨時列車としての運行は継続されたがそれも数年で消滅。7往復もの大所帯を誇った列車としはあっけない幕切れであった。

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